車はわたしの動く城
車の中というのは不思議だ。
どう考えても、外であり公共の場であるのに、物凄くリラックスできる。仕事で張り詰めた心が、仕事終わりに車に乗り込むだけでスッと溶け出していく。上司に怒られ辛い想いをする。でも、それでも前を向いて頑張っていかなければならないと、精一杯力を振り絞って頑張る。そんな頑張った私に対し、『もう力を抜いてもいいんだよ。』と言わんばかりに、車の座席のクッションは私を包み込む。
そして、『今度は僕が頑張る番だ。』と言うようにエンジンを震わせ、24キロの帰り道を軽快に走ってくれる。私の気分に合わせた音楽を流してくれる。どれだけアクセルを踏んで無理させても怒らないし、食べ物のクズをこぼしても文句一つ言わない。
そんな車が私は好きだ。
私は仕事場での昼休みにいつも、車へ行き休憩する。あまり親しくもない人と一緒にいては、本当の休憩は得られないからだ。
車の中では、どれだけ無様な寝姿でも晒すことが出来るし、着替えもできる。妙な動きをしながら変顔してもいいし、踊ってもいいかもしれない。
何たってここは私のプライベート空間。
誰にも文句は言わせない。
車はわたしの動く城なのだ。