やかんと鍋と日記と

ぐうたらと生きる。

腹の中に住まう楽団の音色









ピロロロロロ、ギュルルルルル、ピロリ、グギュル。







お腹の中はいろんな音に溢れている。
胃に配属された消化係が、私が無責任に食べたものを文句も言わず、消化してくれているのだ。






昨日の夜、私たち夫婦は名古屋市栄でひとしきりショッピングを楽しんだ後、イイ感じの飲み屋を見つけようと街中をぶらついていた。

すると、高級感のあるおしゃれなBARが目についた。私たちは直感的に入りたいと思った。店先ではステーキをジューと焼いているのが見えて、入店意欲はさらに高まった。そして、少し店先でまごついた後、そんな客寄せパンダにまんまと誘われ、店内に入った。

店内にいる客たちは、スーツを着込んでいる人が多く、店内のムーディな雰囲気も相まって、エリート感が漂う空間となっていた。多少の場違い感を感じながら、席に着く。

コブサラダ、牡蠣とエビのアヒージョ、つぶがいのマリネ、そして、ステーキ。頼んだ料理はどれも美味しかった。特につぶがいのマリネが絶品で、寿司屋で食べるつぶがいよりも弾力があって旨かった。アヒージョには牡蠣の風味がオリーブオイルにふんだんに溶け出していて、パンに漬けて食べると、パンが牡蠣に変わった。私たちは思わずパンのおかわりを3回もしてしまったほどである。

私たちは幸福感を得ながら、家へ帰った。




その夜の腹の音は凄まじいものがあった。まるで、楽団が演奏しているかのように音を立てていた。

アヒージョを消化したら『ピギュルリ』といい、マリネを消化すれば『ポロロロロロン』という。コブサラダを消化すれば『パランボロン』といい、ステーキを消化すると『ドロログギャン』という。

そんな楽団の音色が、心なしか今日は鮮明で良質なものに聞こえた。きっと、良質な料理を食べたからだと思う。