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やかんと鍋と日記と

ぐうたらと生きる。

分かってくれる妻

金曜の夜、明日が休みだという熱い情動が抑えきれず、意味もなく21時に家を飛び出す。

そして、意味もなく本屋へ行く。

私の住んでるところは、春にウグイスが鳴くのが聞こえ、夏の梅雨の時期にはカエルたちの大合唱が。秋には、コウロギたちが羽を振るわせ情緒を醸し出し、冬は本当に物音のしないような田舎である。

飲み屋も深夜0時には閉まっていることが多く、田舎の深夜は割に閑散としている。

そんな田舎の情景があるが、本屋は結構頑張っている。深夜0時まで営業しているのだ。
自分でそのような時間に利用しておきながら、こんな時間に人なんて来るのかな、従業員の人が可哀想だと、心配してしまう。

でも、心配はご無用。本屋へ行くと、ちらほら自分と同じような迷える仔羊だちが見られた。

大体は男である。家庭に窮屈を感じている人も多いのだろうか。雑誌コーナーにたむろする中年の姿を多く見かけた。

私はそこでエッセイと知識本を買った。最近はエッセイに凝っている。なんだろう。エッセイのリアリティーのある文章に心が惹かれるのである。

そしてその気持ちは、いずれこんな文章を書きたいという気持ちにリンクしているのだと思う。

今日買ったエッセイは言葉選びが巧みなものだった。最近の本を買う基準が、『言い回しの面白さ』になっているところも、自分で表現したいという心の現れなんだと思う。

本を三冊購入して、時刻は10時普通なら満足して帰途に着くところ。しかし、その日の私は往生際が悪い。まだ、家に収まりたくはないと心が騒いで仕方ないのである。

私はコメダで買った本を読むことに決める。そこで、妻にその旨を告げた。しかし、妻にそのことを告げるのは気が引けた。

私のことをよく知る妻でも、私の奇行を軽く否定してくるだろうな、と思ったからだ。例えば、『エー、何なのそれー』とか言われたら、少し気分がしぼむから、嫌だったのだ。

しかし、妻を心配させるわけにはいかないから、キチンと連絡はつける。基本的に私は子ども染みているが、やることはちゃんとやる。いや、妻にからのちょっとした否定を恐れている時点で、子どもなのかもしれないが(笑)

LINEで恐る恐る連絡すると、少し経ってから携帯が振動した。LINE画面をみると『気をつけて帰ってきてね。』と表示されている。

このとき、やっぱこの人を妻に迎えて本当に良かったと心の底から思った。私を決して否定しないのだ。そして、私のことをよく分かってくれている。

分かっていないのは私だった。

私は妻に惚れ直しながら、コメダで買った本のページをひたすらにめくった。

ヒドく優雅である。