やかんと鍋と日記と

ぐうたらと生きる。

妻の失踪

妻が電話に出ない

普段なら、もうとっくに仕事を終えて、帰ってきていてもおかしくない時間なのだが、向こうからの折り返しの着信はない

私は鍋の準備をし終え、食器などもテーブルの上へ並べ、腹を空かせながら待っていた

腹が空いてるからイライラするのと、心配なのが入り混じって、ちょっとパニックになった

これだけ私が心配するのには、理由がある
妻は今、転職活動をしているのだけど、昨日面接がうまくいかなかったらしく、生きてる意味を見失いそうになっていた

昨日は、私が懸命に励まし、妻は『あなたといると安心できるね。』と言えるくらいには回復しているはずだった

でも、寝て起きたらまた辛い想いがぶり返したというのも十分にあり得る


私は仕事終わりに死のうと思っているなら、まだ時間があるはずだと思い、その行為を止めるため、電話を何度もかけた


相変わらず出ない




私はまずイライラを止めるため、鍋にがっついた

この白湯味の鍋がいかんせんあまり美味くなかったが、今はそれどころではない

私は鍋もほどほどに、行方不明になった場合の対処法を熱心に調べ始めた

色々と調べてみたが、子どもがいなくなったという案件がほとんどで、それらしい情報は見つからない



途方に暮れていたところに、妻からの電話


私はワンコールあるかないかのところで電話にでた





妻・・・

私  もしもし


妻・・・・・・


私   もしもーし


妻・・・・・・・・・


私    どうした?



妻  もしもし、今イヤホンに繋いだ。何回も電話かけてくれてたんだね。心配してくれたの?今仕事終わったとこ。



なーんだ。