やかんと鍋と日記と

ぐうたらと生きる。

妻の失踪

妻が電話に出ない

普段なら、もうとっくに仕事を終えて、帰ってきていてもおかしくない時間なのだが、向こうからの折り返しの着信はない

私は鍋の準備をし終え、食器などもテーブルの上へ並べ、腹を空かせながら待っていた

腹が空いてるからイライラするのと、心配なのが入り混じって、ちょっとパニックになった

これだけ私が心配するのには、理由がある
妻は今、転職活動をしているのだけど、昨日面接がうまくいかなかったらしく、生きてる意味を見失いそうになっていた

昨日は、私が懸命に励まし、妻は『あなたといると安心できるね。』と言えるくらいには回復しているはずだった

でも、寝て起きたらまた辛い想いがぶり返したというのも十分にあり得る


私は仕事終わりに死のうと思っているなら、まだ時間があるはずだと思い、その行為を止めるため、電話を何度もかけた


相変わらず出ない




私はまずイライラを止めるため、鍋にがっついた

この白湯味の鍋がいかんせんあまり美味くなかったが、今はそれどころではない

私は鍋もほどほどに、行方不明になった場合の対処法を熱心に調べ始めた

色々と調べてみたが、子どもがいなくなったという案件がほとんどで、それらしい情報は見つからない



途方に暮れていたところに、妻からの電話


私はワンコールあるかないかのところで電話にでた





妻・・・

私  もしもし


妻・・・・・・


私   もしもーし


妻・・・・・・・・・


私    どうした?



妻  もしもし、今イヤホンに繋いだ。何回も電話かけてくれてたんだね。心配してくれたの?今仕事終わったとこ。



なーんだ。




カラオケにて涙を流す

最近、妻とカラオケへ行くのが、頻繁になってきている

妻も私も自分の好きなバンドの歌しか歌わないから、あまり皆でワイワイする向きではないのだ

特に私に至ってはマイナーなロキノンバンドばかり歌うので尚更だ




今日も私はアジカンから始まり、アートスクール、ピープルインザボックス、フォズトーンとお気に入りを軒並み歌い尽くしていった

やっぱカラオケに来ると嫌なことも放出できる気がするなぁと感じる

カラオケに来て、一時間ほど経ったころ私は哀愁漂うムーディな曲を何個か選曲した

すると、なんだか今週苦しかったことが走馬灯のように頭の中を駆け巡っていった

私はカラオケ中にも関わらず、どんどんネガティヴな気持ちに溢れていった


そして、最終的には無気力状態になり、カラオケを歌う気力もなくなってしまった

妻にちょっと歌っててと伝え、自分は完全に聴くモードに入り、カラオケの長ソファーに横になる

妻はそんな私の変化をお見通しだった

6年も一緒にいるだけあって、私の心の弱さには慣れているのである

妻はこの曲をあなたに捧げますと言って、鬼塚ちひろの『蛍』を選曲した


妻はリズム感こそないが、多大なる声量をもつため、歌声が部屋中の壁に反響したくって、物凄い迫力を生み出した

そこに鬼塚ちひろの人の心を掬いあげるような歌詞が乗っかる



私の目からはボロボロと涙が溢れ出した


今まで、食い止めていた結界がスルスルと解け、透明の液体とともに、抱え込んでいた様々な想いが流れ去っていった

カラオケでうな垂れ、涙を流す私の姿は、みっともないとしかいいようがない


その後、妻にだけ歌わせていては白けてしまうと思い、歌おうとしたが喉がつかえて歌えない

そんな私に妻は優しく『帰る?』と聞いてくれた

私は妻の好意に甘え、帰ることにした




次の日、妻に謝った

真新しさのないクリスマス

昨日はクリスマスイブだったんだなぁ
クリスマスらしいことをしないまま、終わってしまった

歳を取るたびに季節感とは無縁になっていくのだろうか

大学の頃は、少しはクリスマスに沸く心をもっていたはずだ

彼女と思い出作りに出かけ、夜は学生にしては背伸びしたオシャレなお店でディナーに舌つづみを打つ
高級感溢れる店内に足を踏み入れただけで、気分が高揚し、まるであらかじめ決めていたかのように、美味しいと言う

そんな初々しい経験はもう出来ないのだ

『真新しさのないクリスマス』

これがこんなに寂しいものとは思わなかった




そうこうしてる内に、年も明けてしまう、、、



来年はもっと季節感を大事にする一年にしたいと思った



あっ、そうそう

一つだけクリスマスを感じる出来事があった

トナカイの着ぐるみを着た男とサンタの衣装を身にまとった男が国道沿いをランニングしてた

その二人に浮かれた様子は見られず、ただ前だけを見て、ストイックに走っている

私はなんかイイなぁと思った


あの二人も、季節を感じようと必死だったのだろうか



私のクリスマスは寒空の下で白い息を吐きながら走る二人の後ろ姿をみて、終わった

貝は美味いよ

私はストレスが極限を迎えると、非常に無口になり、人と関わるのを避けるようになる

そういうとき、本当の自分を発見できる

本当は自分の殻に閉じこもり、海の底に沈んでいたいタイプなのである

しかし、他人との関わり合いや社会という荒波を乗り越える必要性から私はいつも頑張ろうと励んでいるのだ

励んでいると、他の人より秀でたいという『欲望』がひょっこりと顔を出し、手招きをする

つまり、私の中から欲望を追い出したら、私は貝になるのである

もし貝になれたら、潮干狩りにきた好奇心旺盛な子供に見つけられることなく、海底で生を終えたい

もう何の話をしているのやら分からない








結論、貝は美味い!

マイペース過ぎるおっちゃん

私の職場には通称が『おっちゃん』の文字通りおっちゃんがいる

これほど雑なネーミングはないと思うが、これだけ雑なのにも理由がある

おっちゃんはマイペース過ぎて、周囲からひんしゅくを買っているのだ

まず、会社に来ると挨拶することもなく、そそそっと皆んなの目の前を通り過ぎていく

そして、仕事を一生懸命やらない

普通にやれば、1日で終わることを3日くらいかけてやっている

たまにお客さんが持ってきてくれるお菓子をたくさん食べてしまう等々



これらのことが積み重なり、同僚からはあらゆる不満が立ちのぼり、裏で陰口をいうようになっている


私はその陰口を聞くことがあまり好きではない

何故なら、私はマイペース過ぎるおっちゃんが嫌いではないからだ

確かに、急がなくてはならない仕事をトロトロとやっている姿をみると、『何でだよっ!』と一回ツッコミたくなるが、心の中で呟けば、許せるし

何より優しさをもっていることも知っているからである

おっちゃんは自分に優しく接してくれる人物に対しては、気がきく面も持ち合わせているのだ

このことは他の社員はあまり知らないことだと思う




だから、私はおっちゃんを嫌いにはなれない




だからこそ、陰口を聞くのが嫌なのである



最近はメッキリおっちゃんがお菓子を食べ過ぎって話題でもちきりだ









平然と男女差別をする上役

今日、事務の女の人を忘年会に誘っていたら、その後に、上司の人がコソコソとやってきて、女の人は誘ったらダメだよと言った


なんでも、今、部長にまで登り詰めた男が女は飲み会には来るなと女の事務員に言ったから、誘わない方がいいというのだ

しかし、私はその警告に牙を剥いた

何故なら、明らかに頭のおかしい発言をする方に肩入れする必要はないからだ

もし、誘われなかったら、悲しい想いをするかもしれない

だから、私は女の人も飲み会に誘っておく

それは当然のことだ


今時、男女に大きく区別をつける人なんて珍しい

しかも、それがウチの会社の重役なのだから、世も末である





家族で結婚パーティー

今日、私の家族と嫁とで結婚パーティーを行った

最初、主役にも関わらず乗り気でなかった私だったが、美味しいフランス料理を次々と口に運ぶたびに、少しづつ気分が高揚していった

やっぱ食べることで人は元気になれる

始めに私の方から挨拶をして乾杯をする流れになった

しかし、私は気乗りしてないことと緊張とかないまぜになり、何か上手く話せなかった

今思うともっとちゃんと言えればよかったなぁと思う

人生一度きりの結婚挨拶をうやむやにしてしまったことを後悔した

代わりになるようなちゃんとしたスピーチが今になったらすぐ思いつき、自己嫌悪する

でも、私らしいっちゃ、私らしい挨拶だった

だって、これまで一度たりともキチッとキメてやったことはないのだ

これが等身大の私で、後悔してるのは私だけだ

だから良いのだと思えた




話は変わるけど、私の家族は本当に家族らしい家族だと思った

父は写真を撮りまくりながら、同じ話を何回もしたり、少々トンチンカンなことを言ったりするユニークな人物

母はそんなユニークな父を上手くコントロールするツッコミタイプで

弟は冷静に話を聞き、よく笑う優しいやつ

おじいちゃんは自分の話題をされていても、耳が遠いから真っすぐ前をただ見ている

おばあちゃんはスゴくしっかりしてて、おじいちゃんに教えてあげなければならないことを耳打ちしてあげている

そして、嫁は自分が嫌なことはハッキリと言ってのけるタイプで、おしゃべりクソ野郎だ

みんなが本当に違う性質をもっているから、何か面白いバランスが生まれる


今日は何か家族っぽいのだなぁと感じた

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